
こんにちは。いずみ絵画教室です。
今回は生徒さんのデッサンをご紹介します。
こちらはボブキャット(北アメリカに生息するヤマネコの仲間)の頭骨をモチーフにしたデッサン作品です。背景にあるのは木の箱です。
少し暗い背景から浮かび上がるような白い頭骨がとても印象的です。
骨の明るく繊細な描写と背景の暗い描写が対比的に表されていて、とてもかっこいい作品だと思います。
また、構図やモチーフの置き方からは、作者の「このように見せたい」という意図も伝わってきます。
単なる練習作品ではなく、作品としての魅力がある一枚だと思います。
ところで、もしかしたら骨がモチーフなので少し怖いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実は、美術の世界では骨は昔から描かれてきたモチーフの一つなのです。
今回は、なぜ骨が昔から描かれてきたのかについて少し書いてみます。
骨、特に人間の頭骨が描かれた絵画は古くから数多く存在しています。
有名なのは「ヴァニタス」と呼ばれる絵画のテーマです。
ヴァニタスには人生の空しさや、死を忘れずに生きるという意味が込められており、17世紀のオランダ静物画で多く描かれました。
面白いのは、それらの絵画では美しい花や宝石、豪華な品々などが一緒に描かれることです。
これらは人生の喜びや成功、美しさ、富などを象徴しています。
そして、それらもいつかは失われるものであることを示す象徴として頭骨が描かれるのです。
この考え方は、仏教の「諸行無常」にもどこか通じるものがあります。
西洋画でも日本画を含む東洋画でも、あるモチーフには特定の意味が込められていることがあります。
たとえば西洋画で百合の花が描かれれば聖母マリアの純潔を表し、東洋画で松や鶴が描かれれば長寿や吉祥を意味することがあります。
このように、絵画は色や形だけでなく、その背景にある歴史や文化、象徴的な意味を読み解きながら鑑賞する楽しみもあります。
まるで謎解きのような面白さがありますので、美術館や本などで調べながら作品を見ると、また違った世界が広がるかもしれません。