こんにちは。
今回は円柱の形の取り方がテーマです。
早速ですが、下の図をご覧ください。
円柱の形に少し違和感を感じませんか?
実はこの円柱は、デッサン的に見ると形が歪んでいます。
しっかり観察して描いたつもりでも、ついこのような形になってしまうことがありますので、一緒に問題点を確認していきましょう!
円柱の底面と上面の形を見直そう
幾何石膏のモチーフの一つに円柱があります。
とてもシンプルなモチーフなので地味でつまらないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、円柱は様々なモチーフにも応用できる良いモチーフです。
円柱の形をベースとした形は、私たちの周りに意外とたくさんあります。
例えば、飲み物の入った缶やコップ、花瓶などは円柱に近い形をしていますよね。
さて、この円柱を描くときの大事なポイントは「楕円」の描き方です。
下の図をご覧ください。
円柱の底面や上面は本来円の形をしていますが、斜めから見下ろすと楕円となって見えます。
デッサンで描くときにはこの楕円を描くわけですが、そのときに注意したいのが底面と上面の楕円のカーブです。
結論から言えば、楕円の形は底面の方が円に近い形に見えています。
つまり、底面の楕円の短軸は上面のそれよりも長いのです。
最初に見た図をもう一度見てみましょう。
こちらの円柱は底面の方が楕円が潰れて見えています。
最初の例が不自然に見えたのは、上面と底面の形が正確に捉えられていないことが原因だったのです。
それではなぜ、底面の方が上面よりも円に近い形に見えるのでしょうか?
目線と楕円の見え方の関係
ここで楕円の見え方と、目線の関係について考えてみます。
丸い形のコースターを例に考えてみましょう。
例えば、自分の目の高さに円形のコースターがあったとき、コースターはほぼ直線となって見えます。
しかし、コースターを少し下にずらすと楕円になって見えますね。
もっと下にずらすと楕円は円に近づいていきます。
このように、自分の目の高さから下に離れていくほど楕円の短軸が長くなっていき、円に近づいていくのです。
図に表すと下のようになります。
これは上に見上げる場合でも同じことがいえます。
さて、ここでAを上面、Bを底面として線で結んでみましょう。
すると自然な形の円柱になります。
このことから、円柱は底面の楕円の方が円に近い形に見えていることが説明できます。
さて、楕円のカーブを上手に描くときに気をつけたいことがあります。
それは、形が見えない部分のつながりも意識して描くことです。
下の図のように楕円が葉っぱのような形にならないよう、後ろに回り込む形も意識して描いてみましょう。
まとめ:目線に対してどれくらい見下ろして(見上げて)いるかがポイント
円柱を描くときは、自分の目の位置からどのくらい見下ろして(見上げて)いるかを考えることが大切です。
カーブを見たままに描き移そうとすると、最初に示した例のように上面と底面の関係が崩れやすくなります。
だから、絵の中で目線の位置と楕円の見え方の関係を考えながら描く必要があります。
繰り返しになりますが、上面よりも底面は円に近い楕円に見えています。
円柱で楕円の練習をすると様々なモチーフを描くときにも役立ちますので、ぜひ丁寧に取り組んでみてください^_^