こんにちは。
みなさんはデッサンをするときに、モチーフの形を正確に描けずに苦労した経験はありませんか?
形を似せて描いたつもりでも、なかなかそっくりにとらえることは難しいですよね。
今回は形をとらえる手がかりになる方法をお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
正確に形を描く=形の歪みに気づく
デッサンは描くことと修正することの繰り返しによって深めていきます。
正確に形を捉えることができるということは、裏を返せば歪んだ形に対しては違和感を感じることができるということです。
ですから、まずは形の歪みに気づけるようになることが整った絵への第一歩ということになります。
ほとんどの方にとって、はじめから正確な位置に線を引くことは難しいことです。
だからデッサンを始めたばかりの段階ではそこを目指さなくても大丈夫。
最初は「正確な形を描くこと」よりも「形の歪みに気づいて修正する」ことに意識を向けて取り組んでみてください。
自分で違和感に気づけるということは、正しい形に近づく伸びしろがあるということです。
少しずつ形を修正をしながら、実物と絵の間のズレを見直していきましょう。
そのズレが少なくなったとき、整った形のデッサンとなります。
形の歪みに気づくためには目で「測る」ことが大切
例えば、下の図のような石膏のモチーフを描いたとしましょう。
図の実物(左)と絵(右)を見比べて、絵のどこに歪みがあるかわかりますか?
ちょっと絵の方が円錐が細い感じがするでしょうか?
先程、デッサンは形の歪みを直すことが上達への第一歩とお伝えしましたが、はじめのうちはそもそもどこが歪んでいるのかわからないということもよくあります。
それはデッサンにおける「測り方」がわからないからです。
デッサンには形を修正するための測り方があります。
それが「傾き」、「比率」、「座標」です。
デッサンに迷ったら、この3つの測り方を試して形の歪みを見ていきましょう。
では実際に3つのポイントをお伝えしていきます。
形の見直しポイント①傾き
まず初めに見直したいポイントは物の傾きの線です。
モチーフの円錐の傾きをそのままデッサンの方に移動してみます。
すると実際の円錐部分の傾きとは違っていることがわかると思います。
傾きを誤ってとらえていることがわかりますね。
慣れてきたら実際の線の傾きだけでなく、物と物の角を結ぶ線なども同時に確かめましょう。
下の図の場合、大きく傾きが違っているのがわかると思います。
モチーフと絵の間で傾きのズレがなくなってくると印象が良くなってきますので、いつも見比べながら形を整えていくようにしてください。
形の見直しポイント②比率
次に見直したい部分は比率です。
比率はプロポーションともいわれ、物と物の大きさの比率を確かめていく方法です。
下の図をご覧ください。
底面の直径(赤線)に対する高さの比率(青線)をそれぞれ確かめてみます。
すると絵は実物よりも、高さに対しての底面の直径が短いことがわかるでしょうか。
実物は高さに対して底面の直径は2/3 くらいの長さなのに対して、絵の方では半分くらいに見えていると思います。
このようにある基準に対しての比率を確かめることで、全体のバランスを見直すことができます。
比率の見直しは、例えば人物を描くときに何頭身かを確認するときなどにも有効です。
形の見直しポイント③座標
3つ目のポイントは「座標」です。
座標とは点の位置を指す数学用語ですが、絵にも応用ができます。
次の図を見てみましょう。
例えば、モチーフを見たときに手前の飛び出している円柱の先から真下に向かって線を引いてみると、実物では赤い矢印が石膏の内側を通っていますね。
しかし、絵の方では石膏の外側を通っているので、形に狂いがあることがわかります。
このように、ある場所から上下左右に線を引いてみて、線がぶつかる所が実物とズレていないかを確かめることが、座標感覚で物を見るということです。
複数のモチーフがあるときなど、一つのモチーフに集中して描いてしまうと他のモチーフとの関係を比較せずに描いてしまうので、時々線を横や縦に引いて位置を確かめるようにしましょう。
まとめ:どこを修正するか決める
これまで3つの具体的な形の見直し方をご紹介しました。
大事なことは傾き、比率、座標を確かめた上で、どこを直すかを見極めることです。
今回の例では円錐の高さは変えなくても、傾きを少し直せば最小限の修正で形が整います。
見直しポイントは、どれか一つがずれていると他の二つも合わない場合がほとんどです。
傾きがおかしいから比率も崩れ、座標位置も変わるというように3つは関連しています。
つまり、モチーフと絵の傾き、比率、座標がほぼ一致すれば、パズルのピースが合うように正確な形で絵が描けます。
初めは慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、辛抱強く続けてみてください。
きっと上達していきますので、じっくりと楽しみながらデッサン力を高めていきましょう。