こんにちは。
今回は油絵を描くときに必要な道具をご紹介します。
油絵は道具がたくさんあるため、初めはどんな画材が必要かわからない、という方も多いと思います。
初心者向けに揃えていただきたい道具をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
動画でも解説しておりますので、あわせてどうぞ^_^
キャンバス
油絵は主にキャンバスに描きます。
キャンバス(canvas)とは麻などの画布のことで、木枠に張って使います。
自分で木枠を組み立ててキャンバスを張ることもできますが、初めは「張りキャン」とよばれる既にキャンバスを張った状態のものを購入するのがおすすめです。
絵を紙ではなく布に描くことに驚く方もいますが、紙よりも丈夫なキャンバスは油絵具をしっかり受け止めます。
キャンバスの大きさはキャンバスの木枠に記載されていますので必要な大きさを確認してくださいね。
大きさはF、P、M、Sのいずれかのアルファベットと、3号、4号などの数字の組み合わせで表されます。
例えばF4号、P6号、M10号、S12号といった感じです。
号数は長辺を表し、長辺は数字が大きくなるほど長くなります。
アルファベットは長辺に対する短編の長さで、S >F >P >Mの順に短くなります。
よって同じ号数であっても、S6(41.0×41.0㎝)、F6(41.0×31.8㎝)、P6(41.0×27.3㎝)、M6(41.0×24.2㎝)と面積が異なります。
油絵具
画材屋に行くとたくさんの絵具が並んでいるので、何を買ったらよいか悩んでしまう方も多いと思います。
絵具はたくさんあればよいというわけでもありません。
初めは基本の12色程度があれば十分です。
たくさんの絵具を揃えることよりも、初めは少ない色数で、混色することによって多くの色を作れるように意識しましょう。
12色セットの箱に入った初心者向けの油絵具が販売されていますので、最初はこちらを購入して使ってみるのがよいと思います。
何枚か絵を描いていくうちに、自分好みの色や欲しい色が出てくるはずです。
慣れてきたら適宜買い足しながら少しずつ絵具を増やしていきましょう。
油絵具はアーティスト用と習作用があり、品質にグレードがあります。
アーティスト用は習作用よりも高品質な絵具となり、価格も高くなりますが色や耐久性において優れます。
長く続けるつもりの方はアーティストカラーがおすすめです。
12色セットは習作用が多いため、使い切ったらアーティストカラーに切り替えていくのがよいかもしれません。
画溶液
油絵具は画溶液を使って絵を描きます。
画溶液の役割は絵具の固さを緩める、絵に光沢を与える、丈夫な絵具層を作ることなどです。
画溶液はたくさんありますが、まずは「テレピン」と「ペインティングオイル」の2本を使いましょう。
テレピンはチューブから出した絵具を緩める働きがあります。
テレピンのことを「ターペンタイン」と表記しているものもありますが、成分は同じです。
ペインティングオイルは絵具の固着力を高め、絵に光沢を与えます。
〇〇ペインティングオイル、ペインティングオイル〇〇という表記で売られていますが、大きく性質は変わりません。
描くときは、テレピンのみで描き始め、次第にテレピンにペインティングオイルを混ぜていき、仕上げにいくにしたがってペインティングオイルの濃度を高くしていきましょう。
テレピン:ペインティングオイルの比率
10:0(描き始め) → 3~4:6~10(初期) → 0~2:8~10(中期) → 0:10(仕上げ)
こんなイメージで使っていきます。
筆
油絵の筆は毛質と形状で分類できます。
まず、筆の毛には硬毛と軟毛があります。
硬毛は豚毛が代表的です。
豚毛は厚塗りや筆のタッチを活かす表現に向いています。
軟毛はセーブル(イタチ系の毛)、馬、雄牛、狸などの獣毛と、ナイロンなどの人工毛があります。
軟毛は柔軟性があるので、薄塗りや細かい描写など、繊細な作業に向きます。
動物系の毛はやや高価なので、ナイロン毛で代用してもかまいません。
また、筆の形は大きく分けると平筆と丸筆に分けられます。
平筆は広い面積を均一に塗る場合や、エッジを使った線を描くときに便利です。
平筆にはいくつか種類がありますが、フラットかフィルバートは持っておくとよいでしょう。
丸筆は線を描くような描写に向いています。
また、平筆の仲間であるファンという筆も1本あると絵具をぼかしたり、薄くグレーズをするときにも便利です。
太い硬毛だけだったり、逆に細い軟毛の筆ばかりだったりするとタッチに偏りができて、豊かな絵に繋がりません。
できるだけバランス良く、初めは5〜10本程度揃えるようにしましょう。
筆の揃え方の一例をご紹介します。
フィルバート12〜16号×1〜2本(豚毛、ナイロン毛)
丸筆6〜8号×2本、3号以下×1〜2本(ナイロン毛)
ファン12(ナイロン毛、狸毛)
※号は筆の太さを表す単位です。
パレット
パレットには主に紙製と木製があります。
オススメは紙パレットです。
紙パレットは白いので、チューブから出した絵具の色が見えやすく、その日の作業が終わったらはがして捨てることができます。
もちろん、木製の使い込まれたパレットも味わい深く、よいものです。
同じパレットを長年大切に使っている画家さんもいます。
パレットの形は長方形や丸い形、指をひっかける穴があるものなどさまざまです。
自分が使いやすいパレットを選びましょう。
ペインティングナイフ、パレットナイフ
ペインティングナイフやパレットナイフがあると、パレット上で絵具を混ぜ合わせるのに便利です。
ペインティングナイフは筆の代わりに描画の道具としても使います。
ペインティングナイフを使えば厚塗りをして盛り上げたり、引っ掻いたりと絵肌に表情をつけることが可能です。
小さめのものでもいいので一本持っておきましょう。
パレットナイフはペインティングナイフでも代用できるので、なくても大丈夫です。
油壺または溶き皿
画溶液を入れておく容器として、油壺(左)か溶き皿(右)を用意しましょう。
油壺はクリップがついているので、パレットにひっかけて使います。
油壺の代わりに溶き皿を使用しても構いません。
小さいお皿なら、作業机の上に置いて使うことができます。
画溶液はその日の作業が終わったら、袋に入れた新聞紙やウエスなどに染み込ませ、水を入れて(発火防止のため)捨てるようにしましょう。
筆洗(ブラシクリーナー)
筆洗は制作の後に筆を洗う液体で、容器の中に筆を入れて洗います。
絵具が分解され、汚れが筆洗液の下に溜まっていきます。
写真のように何度も使うと筆洗液の濁りが強くなってくるので、汚れが落ちにくくなったら買い替えましょう。
石油系の臭いが気になる方は無臭タイプがおすすめです。
筆洗で筆を洗ったら必ず中性石鹸で水洗いをしてください。
また、筆洗は画溶液ではないので、制作の途中で洗いながら使うのはやめてくださいね。
筆に残った筆洗が、絵を溶かして大変なことになってしまいます…
ウェス
いらない布やタオルペーパーなどを用意しておきましょう。筆の余分な絵具を落としたり、木製パレットを掃除したり、キャンバスの絵具を拭き取ったりと様々な用途で使うことができます。
まとめ
今回は初心者の方に向けて、必要な画材をご紹介しました。
最初は準備するものも多くて大変ですが、慣れてくると自分なりに道具をカスタマイズできるようになります。
今回紹介した道具があれば初めは十分絵が描けますので、よろしければ参考にしてみてください。